DSIAでは、2021年度に、東日本大震災の風化を防ぎ、震災からの復興だけでなく、過疎化や地域経済活性化、人とのつながりのあり方の問い直し、伝統芸能の保存、高齢化、少子化、持続可能な環境づくりなどに取り組む岩手、宮城、福島の人々とオンラインでざっくばらんに話す連続「おちゃっこ」企画「東北いろはにほへと」を実施しました。
2022年度は「東北から学ぶイノベーション研究会」と題し、人と人とのつながりは何を生むのか、自然と人との共生には何が大切かなどの問題意識をもって、我々が東日本大震災以後の10年の取り組みから学ぶことをねらいとした「おちゃっこ」を開催しています。
2022年度は、実施にすこし時間が空いてしまいましたが、第2回研究会を以下のように開催しました。
<復興から学ぶイノベーション研究会(第2回)>
日時: 2023年1月16日(月)19時半~20時45分
テーマ: キッチンカーを用いた食からの復興イノベーション
話題提供者: 三塚浩之氏(かまいし水産振興企業組合 代表理事)
4つの「共通の問い」
今年度の研究会では、人の生活の基本である「衣・食・住」のそれぞれの切り口から被災地と外の地域、そして被災地のなかでの地域の人と人のつながりやまちづくりに尽力する方々を話題提供者としてオンラインでお招きし、お話をうかがっています。うかがう際に、以下の4つの「共通の問い」を投げかけています。
・何が変わったか
・大切にしてきたこと
・誰にどういう影響を与えてきたのか、
・自分がどう変わったか
三塚さんからのお話(概要)
第2回の研究会には、岩手県釜石市の 三塚浩之氏(かまいし水産振興企業組合 代表理事)をお招きしました。この4つの問いに関する三塚さんにお聞きしたお話の一部を、箇条書きにまとめました。
【何が変わったか】
- 人の関りがどれだけ大切か、自分はこんなに繋がっていたんだということが分かった。
【大切にしてきたこと】
- (震災後の商売の立て直しについて)スピードと判断を優先した。それゆえに、親戚つきあいなど犠牲になったものがあった。どちらが正しかったかは、分からない。
自らの活動が復興の旗印と言われていた。震災前のギャルプロジェクトの経験などがあり、広報やリソースの仕方など分かっていた。
キッチンカーの仲間と、「まずは2年で店舗を再開する」というゴールを一緒に達成したかった。
【誰にどういう影響を与えてきたのか】
- 熊本大震災時のキッチンカープロジェクトによる復興(益城町)
【自分がどう変わったか】
- 「なる時はなる。ならないものはならない」と思うようになった。流れが来ているかどうか。
知り合いたくさん増やしたいと思うようになった。
【その他】
- 地域で普段ヤンチャな人が、「いざ」という時に活躍したりする。
- 熊本と岩手では、地震のために何もなくなったことだけが共通点で、北と南、夏と冬等々、地域や気候も含めた事情が全く違う。それでも、熊本での支援では、自分が被災者だから言えることがあると分かった。
- 人たちとのつながりが、コロナ禍で会えなくなり途切れてしまったので、今年の「3.11」を起点にして、つなぎなおしが必要。
- 飲食はその地域の顔でもある。「また食べに行きたい、あの店の人に会いたい」と思ってもらえれば、つながり続けられるのではないか。
他にもいろいろお話をうかがうことができました。第3回の研究会は、年度をまたぎますが5月に開催予定です。このウェブサイトでもご案内しますので、ぜひご参加ください。